-EP.2- コロナ禍の人間関係について
昨今のコロナ禍の下、飛沫感染を防ぐため医療機関等は「ソーシャル・ディスタンス」という言葉で、人と人の間の距離をとることを推奨しています。今回はこの人と人の間の距離について「ヤマアラシのジレンマ」という言葉から考えて見ました。
1.「ヤマアラシのジレンマ」の意味
ヤマアラシは、体の背面等が針毛で覆われた動物で、ジレンマとは二つの相反する事柄の板挟みになることでの悩みを言います。
この言葉は、米国の精神分析医ベラックが、人間関係の親密さの課題について述べる際に、哲学者ショーペンハウアの寓話を引用された際の言葉だそうです。
~ショーペンハウアの寓話の概意~
“冬山の避難小屋で二匹の「ヤマアラシ」が、酷寒の中で凍死しないよう体を寄せ合って温めあおうとしましたが、針毛が刺さって、相手を傷つけることから、相互に近づけないというジレンマに陥りました。
しかし、近寄ったり離れたりを繰り返すうちに、お互いを傷つけない針先の距離を見つけ、暖かくて心地よい空間を作りました。”
2.考察
職場における上司、部下、同僚間の関係、夫婦関係、親子関係、恋愛関係等の場で相手を傷つけない心理的、物理的な距離感の必要性を示唆した言葉です。
社長の息のかかった社員等という言葉もありますが、相互の距離の近さが、両者の親密度を表すバロメーターの意味で用いられています。
ただ、親しくなり過ぎると、相手への要求や期待が大きくなって喧嘩し、お互いに傷つけ合ってしまう現象、皆様にも経験があろうかと思います。親密になるためには、まず相手に近づかないと仲良くなれませんので、その距離を測りかねて「悩み」が生まれます。近づきたいけど傷つけてしまう。傷つけられる可能性があるから近づけない等の課題です。
私は、自分の言動のなかに潜むこの種の針を恐れております。針はなるべく短く、先端を丸くして、周りの皆様と平穏で心地よい環境つくりに努めたいと思っております。
担当:茶山顧問