時事問題著者:茶山

-EP.28- 最近の犯罪について

1.はじめに

 警備業は社会の安全・安心に貢献する生活安全産業であることから、これを脅かす犯罪の発生状況や特徴などについては、日ごろから関心をもって見ていく姿勢が求められています。
 今回は、最近の犯罪のなかから、サイバー犯罪と呼ばれるコンピュータやインターネットを悪用した犯罪、携帯電話の交流サイト(SNS)が介在する犯罪について取り上げて見たいと思います。

2.犯罪は社会を映す鏡

 上記の言葉は、犯罪行為が、単なる個人の行為ではなく、背景や根底に社会の価値観や社会の抱える矛盾・ゆがみ等の問題が反映されているとする考え方を表した用語ですが、日々進展する情報化社会のなかで、最近の犯罪はどんな社会問題を映しているのか気になるところです。

3.SNS投資詐欺等について

 警察庁が6月15日に発表した本年1月から4月までの全国刑法犯の認知件数のなかで、SNS上で、投資家や著名人などをかたって投資に勧誘する手口の詐欺は2508件・被害総額約334億3千万円に上ったと指摘しております。
 このなかで、犯人側と被害者が最初に接触するツールは ①LINE(ライン)②フェィスブック ③インスタグラムであると補足しています。
 また、SNSを通じて接触し、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取るロマンス詐欺は832件・被害総額約84億1千万円認知したとして、併せて、国民に注意を喚起しています。

 石川県警では、本年1月から5月までの間、SNS型投資詐欺被害は17件発生し、被害総額約2億4千8百万円となり、昨年1年間の11件被害総額約7千3百万円を大きく上回って多発傾向にあるとして、県民に注意を呼びかけています。一方、ロマンス詐欺は、5件発生・被害額約6千6百万円と発表しました。
 なお、本県内では、6月に入ってからも同種詐欺により、羽咋市の70代男性が約4千500万円、野々市市の80代男性、約2千100万円及び加賀市の40代女性、約600万円などの被害に遭ったほか、スマホを介して架空料金請求などにより、金沢市の60代男性が約470万円、同市70代女性が、1千5百万円、野々市市の70代女性が、約50万円が特殊詐欺被害に遭っており、依然としてこの種事案は後を絶たない状況です。
 (※ただし、以上の数値等についてはマスコミ報道から引用したもの。)

4.おわりに

 このほか、SNS介在の特異な犯罪として、今月13日、北海道警察が、本年5月下旬に旭川市内の石狩川で、女子高校生(17歳)の遺体が発見された事案に関し、21歳女性と19歳女性の二人を、同少女をつり橋の上から転落させ殺害した殺人容疑で再逮捕した。殺害の動機は、被害女性が、SNSに、犯人の21歳女性の写真を無断で使用したことに立腹しての犯行とマスコミが報道しております。
 現段階で、同女らの犯行は確定されたものではありませんが、SNSの使用上のトラブルが犯行の原因とあれば、上記の詐欺事案も含めてインターネット(SNS)等の使用にあたっては、プライバシーの保護の面や、被害に遭わないための知識が、使用に必須の要件と考えられます。
  

5.参考

 このように急増するSNS投資詐欺等への対策として、政府は、この6月18日に犯罪対策閣僚会議を開いて、国民を詐欺から守るための総合対策を決定し発表しました。
 この対策は、著名人に成りすまして投資に誘う詐欺広告への対策として、「SNS事業者に広告の事前審査の強化を要請すること」を柱とし、国民の被害防止に向けた総合対策となっております。
 背景には、ジャーナリストの池上彰さんや、Z0Z0創業者の前沢友作さん、実業家の堀江貴文さんら著名人の画像を無断で使用した詐欺広告が、大きな社会問題となっていることもあるとみられます。
 なお、本対策のポイントとしては
  〇交流サイト(SNS)事業者に広告の事前審査基準の策定などの審査強化を要請。
  〇著名人らになりすまし投資を誘う詐欺広告の削除要請への迅速な対応要求。
  〇閉鎖的な場に誘導する広告は原則掲載せず。
  〇捜査機関からの照会に対応する窓口の設置を要請。
  〇フィッシング詐欺サイトの閉鎖促進や闇バイト取り締まり推進。
が挙げられています。

担当:茶山顧問