季節たより時事問題著者:茶山

-EP.29- 日本銀行の新紙幣発行について

1.はじめに

 今年も一年の折り返しとなる7月となりました。7月は、書簡用語に「盛夏」や「暑中」「大暑」などが登場し、行事では7日に七夕まつり、15日には海の日と盂蘭盆、後半では学童等の夏休みが始まります。時節柄、暑い日が続きますが、「熱中症」に留意し、健康で乗り切りたいと思います。
 今回は、7月3日から始まった約20年ぶりとなる日本銀行の新紙幣発行について、取り上げました。

2.新たに発行される紙幣について

 (1)新紙幣発行のデザイン
 新紙幣は、一万円札、五千円札、千円札の3種類あり、一万円札では、表に近代日本経済の父と呼ばれる「渋沢栄一氏」の肖像を配し、裏面には東京駅の建物を、五千円札では表に女子教育に尽力された「津田梅子氏」の肖像、裏面に藤の花を、又、千円札では表に細菌学者の「北里柴三郎氏」の肖像、裏面には葛飾北斎の富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)を採用し、各々、デザインの刷新を図っている。
 
 (2)新紙幣発行の目的
 ア.偽造防止対策
  紙幣の偽札が、日本経済の根底を揺るがし社会に不安を与え、ひいては国家の存立さえも危うくすることから、偽造を困難にする技術を導入して新紙幣を発行すること。
  因みに、我が国の刑法では、第16章に通貨偽造の罪を設け、行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処すると明記し、厳しく罰することとしている。

 イ.技術の維持と継承
  今回の新紙幣の発行は、約20年周期の更新となり、定期更新の意味もあります。偽造防止技術に関わる技術者の交代時期も絡み、技術継承のために行われる、つまり、定期更新を止めたり、更新期間が長くなると、技術の継承が止まるか、使われない技術として、技術開発のノウハウが失われる可能性があること。

 ウ.採用偽造防止技術の例
  偽造防止のため採用された主な技術として
 ① 透かし(光をあてると浮きあがって見える。)
 ② 3Dホログラム(紙幣の角度を変えると肖像画が動いたように見える。)
 ③ マイクロ文字(現在のコピー機では再現不能)
  などが挙げられている。

3.おわりに

 紙幣は、現行の紙幣も新紙幣も有効に使用できるので、「旧紙幣は使えなくなるので新紙幣に交換します。」など新札以降に乗じたデマや詐言に注意し、詐欺被害に遭わないよう注意しましょう。

担当:茶山顧問