時事問題著者:茶山警備業

-EP.18- 体感治安の向上について

1.はじめに

 最近マスコミ等では、日本の安全神話が揺らいでいる。もはや、日本は安全な国では無くなった等と報道されております。つまり、国民の間における体感治安が悪化していると指摘しているので、今回は、治安のバロメーターと言われる刑法犯の認知件数や背景などについて取り上げてみます。

2.警察庁のアンケート調査結果

 警察庁が昨年10月に実施した「治安に関するアンケート調査」結果では、「日本の治安はよい」、「安全で安心して暮らせる」と感じている人は、68.6%で、前年の75.9%から7.3ポイント減少しており、また、ここ10年で日本の治安はよくなったかとの項目では悪くなったと回答した人は67.1%で前年64.1%より3ポイント増加しています。
 では、その要因をたずねたところ、①無差別殺傷事件63.5% ②オレオレ詐欺等の特殊詐欺62.4% ③児童虐待55.5% ④サイバー犯罪54.1%といずれも5割を超える回答があったと発表しております。
 

3.体感治安に影響を与えている犯罪について

(1)昨年の刑法犯の認知件数は60万1,389件で、戦後最小を記録していた前年の56万8,104件から3万3,285件(約5.8%)に増加し、平成15年以降一貫して減少してきた件数が、20年ぶりに増加に転じ、大変憂慮される状況にあります。
  罪種別では、乗り物盗や暴行等の街頭犯罪が20万1619件で前年比14.4%増加したほか、殺人や強盗、強制性交等の凶悪犯が9,536件、前年比715件(8.1%)増加し、特殊詐欺は1万7,520件で前年比約3,000件(20.8%)増加、被害額も約361億円あり、前年比約79億円(28.2%増)増加しております。

(2)昨年7月安倍晋三元首相銃撃殺人事件が発生し、本年に入り4月には岸田文雄首相に爆発物使用の襲撃事件が発生しました。また、闇バイトによる殺人強盗事件、海外に拠点を置くオレオレ詐欺グループの摘発、5月26日には長野県中野市で県議長の長男(31歳)が散弾銃と刃物を用いて、警察官2名と女性2名合計4名を殺害する事件、同日に町田市のカフエ店内で、元暴力団員男(58歳)が、けん銃で暴力団組員(51歳)を射殺する事件、5月29日夜には熊本市の雑居ビル内で、行方不明届が出されていた女性(29歳)が、布に包まれた遺体で発見される事件等世の中を震撼させる凶悪事件が続発しており、益々国民の体感治安が悪化の傾向を強めていくものと思われます。

4.終わりに

 上述のとおり、犯罪は社会を映す鏡と言われておりますが、犯行手口には国際化の進展や凶悪・粗暴化、SNSで強盗の実行犯を募集する(闇バイト募集)などにみられる発達した通信機器の悪用その他が見られ、平穏な市民生活を脅かしております。
 警備業は、社会の安全、安心に貢献する生活安全産業であります。警備業の真価が問われる時代が到来したと捉えています。
 各自が、この犯罪実態を正しく把握して、平素の業務に、今一度、不審者、不審物、不審車両の発見・通報の留意点等を確認し、エッセンシャルワーカーとしての自負を持ち、治安の向上に貢献していきたいものです。
 

担当:茶山顧問