時事問題著者:茶山警備業

-EP.25- 令和5年度の現任教育を終えて

1.はじめに

 令和5年度の現任教育は、先月第2週までに終えたところですが、受講された皆様には終始、熱心に聴講して頂きまして大変有難うございました。
 この講義の中でお話ししました「コンタクトレス(非接触)時代」における警備」について、伝えきれなかったところも多々あったと自省しており、以下、補足したいと思います。

2.コンタクトレス時代について

 令和2年2月以降、国内でも新型コロナウイルス感染症が深刻な状況となり、現在も変異を繰り返しつつ、平穏な日常生活を脅かしております。この感染の拡大は社会の在り方や生活のスタイルを大きく変えました。感染症対策として採られた3密対策等の結果、職場では人との接触が少ない働き方としてテレワークやビデオ会議等が普及しました。
 今後、5G(第5世代移動通信システム)やAI(人口知能)などを使った非接触技術は進化し、例えば、無人自動車の運行、ロボットが人に代わり受付業務を行う等、現在の仕事が代替、省力化できるようになって行くこと等が予測されています。

3.警備業との関わりについて

 施設警備では、お客様から預かる鍵も、盗難や紛失のリスクがあるICカードから、偽造がきわめて困難な「生体認証システム」(例…顔認証システム、指紋採用等)に、また、交通誘導や雑踏警備等の分野では、最先端技術を活用した防犯カメラやドローンの運用、巡回警備ロボットの試行等が推進されております。それぞれ、交通監視や雑踏状況把握、不審者の把握等に効果を発揮して、各種事件・事故の未然防止等に貢献しております。

4.おわりに

 今後、警備業において、人(警備員)とAIが協調・協働して業務を行うことが一つの課題として取り上げられる時代が到来するものと思います。AIが、警備現場で、警備員の人為的なミス等を防ぎその業務負担の軽減に大きく貢献することに間違いは無いと思われますが、現場で起こる事件・事故の未然防止や被害の軽減、良好な公衆関係を保持する等に関する、最終的な意思決定や判断の場面で、人間の持つ社会的な倫理感や共感力、創造力等が必要とされることは不変です。
 よって、個々の警備員には、今後も豊かな人間性と倫理観を養い、エッセンシャル・ワーカーの誇りと使命感を持って、日々の業務に取り組む姿勢が求められるものであり、また、このように期待される警備員育成には、警備員指導教育責任者自身が、警備業務の実態を踏まえたより実践的で、的確な指導と教育を行うことが必要であることに思いを致し、その責任の重大さを肝に銘じているところであります。
 

担当:茶山顧問